ビジネスマンにとって雑談ができるメリットとは?

雑談で柔軟性が磨かれる

 

新卒生の就職試験の面接では、志望動機、自己PR、入社後に希望する仕事、学生時代に学んだことなど、いわゆる鉄板と呼ばれる質問があります。面接対策として、誰もがこれらの質問にどう答えようか、事前に考えて面接に臨んでいることでしょう。

 

しかし、このような就職に関する事柄とは全く異なる質問がされることもあります。

 

たとえば「最近、感動した映画は?」、「好きな音楽は?」、「あなたを家電製品に喩えるとするなら何ですか?」など、「えっ?」と思うような質問が面接官から出ることがありますが、これはどのような意図からでしょうか。

 

ここで面接官が知りたいのは、その人の好きな映画でも、好きな音楽でもありません。意外な質問をされるなど、思いがけない状況に置かれたときに、どれだけ臨機応変に対応できるか、その能力を見極めようとしているのです。

 

マニュアル通りの答えしかできない人は、融通が利かないのでとっさに答えが浮かんできません。真面目な性格なので適材適所があるというものの、ビジネスでは思いがけない事態が日常茶飯事のように起こりますから、マニュアル以外の出来事が起こるたびにフリーズしていたのでは使い物になりません。そこを見極めたいわけですね。

 

この能力が試されるのは、何も新卒生の面接だけではありません。社会人になっても、臨機応変に対応できる柔軟性は、常に試されているといっていいでしょう。特にこの能力が試されるのは、雑談のときです。何気ない会話を交わしていても、その人のバックボーンは意外と相手に伝わるものです。頑なな人なのかなとか、頭が固そうだとか、柔軟に対応できる人だ、これまで人に恵まれてきたんだろうなど。何気ない雑談ですが、相手はあなたがどういう人なのかを感じ取ろうとしていることも忘れないようにしておきましょう。

 

「周りから信用される」「柔軟性が磨かれる」というのは、雑談が出来る大きなメリットと言えます。

 

 

誰とでも会話できる人を目指そう

 

人は集団のなかで、グループを作るのが好きです。会社でも社長派、専務派などの派閥ができているところも多いですね。また、学閥など学校ごとにグループが集まっているケースもあります。

 

「3人寄れば派閥ができる」という言葉がある通り、人がグループを作るのは自然なことともいえます。しかし、その派閥だけにこだわり、ほかの派閥を出し抜こうとするなど派閥同士の摩擦があると、会社の空気は一気に悪くなります。ですから、多くの人はなるべく派閥に巻き込まれたくないと考えているのではないでしょうか。

 

どこの派閥やグループに所属せずに、誰とでも同じ態度で接することができる人は、とても軽やかで自由な印象があります。そして、このような人に共通するのが、誰とでも雑談できるスキルです。

 

こちらの派閥の人とでも、あちらの派閥の人でも楽しく会話しますし、専務や部長、課長、先輩、同僚、後輩、派遣社員、掃除のおばさん、文房具店の御用聞きの店員さんなど、誰とでも気さくに話せます。こういう人は、周りからとても好かれます。話し下手の人などからみると、実に羨ましい存在です。

 

しかし、話し下手な人でも雑談力を高めれば、ニュートラルなポジションを確保することは可能なのです。ここで心がけるべきは、相手によって態度を変えないことです。上司にも後輩にも、同じスタンスで接すること。つまり、誰とでも自然体で話せる人ですね。たとえ会話の中で派閥に関する悪口がでても、自然に受け流して他の話題へとシフトさせてくれます

 

このような人は相手や周りの人に爽やかな印象を与えますし、信用できる人だと感じさせます。そして、派閥争いで淀んでいる空気を、一新してくれます。

 

このようなことができるのは、特定の派閥に属さないゆえに考え方やものの見方が偏ることなく、全体を客観的に見ているからです。弘兼憲史のマンガ『課長 島耕作』は、そのような人の典型です。ですから、多くの人たちから人気を得ています。

 

島耕作のようになりたければ、誰とでも雑談できるようになりましょう。特に意味もない会話を、立場を超えてできる人。それが派閥やグループにとらわれない軽やかな人の特徴です。

 

 

誰とでも雑談できる人を目指そう

 

同じ同僚でも話しかけやすい人と、話しかけにくい人がいます。話しかけやすい人の周りには、いつも誰かしらがいて話が盛り上がっています。しかし、話しかけにくい人には、誰も寄り付こうとしません。しかし、そんな人にも分け隔てなく話しかける人もいるのです。

 

お笑い芸人の今田耕司さんは、名司会者としても知られています。今田さんが司会すると、出演者全員にまんべんなく話を振ってくれるので安心できると、後輩芸人が話していることがありました。時間が限られているバラエティ番組で、目立たない人にもしっかりと話を振るのは、プロでもなかなか難しいことだと思います。

 

人間関係でもそうです。多くの人は好きな人とは話すけれど、嫌いや人や興味のない人に自分から話しかけようとはしません。同僚とはしゃべっても、上司とは話さないという人もいますね。

 

また、組織で最も嫌われるのが、上にヘコヘコして、下に偉そうにする人です。また、えこひいきをする人も嫌われます。だれでも好きな人とは楽しそうに話しますが、嫌いな人とはなかなか楽しく話せないものです。このように、人によって話す態度を変えるという人も多いですね。

 

しかし、人から信頼される人は、相手の立場や性格などに関係なく、誰とでも同じような態度で話せる人です。このような人は、周りから懐の深い人として信頼されます。

 

逆に、話が上手な人であっても「この人とは話すけれど、あいつとは話さない」など、相手によって話す、話さないを分けている人は、楽しい人であっても器が小さいと判断されてしまいます。

 

このことから、人望は話のうまいヘタではなく、誰とでも同じスタンスで話せるかどうかで決まるといえます。

 

誰とでも適切な距離をとりながら、同じ態度で雑談が出来ればことで人望が得られます。
これは大きなメリットです。
まずは、誰とでも話せることを目指しましょう。これは前項で話した、派閥にとらわれない爽やかな人にも通じます。

 

こういう人は、八方美人ではありません。相手に媚びたり、必要以上に相手との距離を近くしようとしないからです。誰とも平等にオープンに接している。そういう態度に揺るぎなさを感じ、「ブレない人」と人望を集めるのです。

 

人望のある人というと、リーダーシップのある人や親分タイプのイメージがありますが、実は誰とでも分け隔てなく話せる人のことなのです。

 

こういう人は同僚だけでなく、取引先の人たちや上司からも好かれます。取引先の担当者と長く付き合えますし可愛がってもらえるので、出世も早くなります。出世をしても部下や後輩が、しっかりとついてきてくれるでしょう。誰とでも雑談できるスキルは、ビジネスでは非常に強力な武器になるのです。