雑談のメリットとは|職場で雑談が役立つ理由10選

孤独から解放される

自分の居場所を確保できないとき、人は不安になります。
全く知らない土地に転勤になったとき、違う部署に異動になったとき、転職で新しい会社で働き始めるときなど、すでにできている職場の雰囲気になかなか入っていくことができず、一人でぽつんとすることが多いものです。
しかも、その場を仕切っているグループの人たちが閉鎖的な場合は、新人が来てもなかなか輪に入っていくことができません。

 

その場の空気に馴染めない異質分子のような存在になった人は、とても気持ちが不安定になり緊張します。
この緊張は周囲にもわかりますから、職場の空気全体が固くなってしまいます。

 

このような状況はあまりよくありません。
そうならないためにも、職場の雰囲気に馴染むため、最も効果的な方法が周りと雑談をすることです。
新人だから向こうから話しかけてほしいと思うかもしれませんが、そうもいかないときは勇気を出して輪に飛び込んでいくことも必要です。

 

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同じように慣れない場所に出かけたときも、居たたまれない気持ちになることがあります。
仕事で招かれた立食パーティーの場合、誰も知っている人がいなくて、一人ポツンと立ちつくしてしまうことがあります。
知り合い同士で来ている人は、その人たちと話しながら食事を楽しんでいたりしますが、一人でその輪に入っていくことは難しいですね。

 

そんなときは、同じように一人で参加して、ポツンとしている人に話しかけるのです。
一人で来ている人は、あなたと同じく手持ち無沙汰で、誰かと話したいと思っています。
そこにあなたが話しかけて助け船を出してあげれば、相手もホッとして話が弾んで感謝もされるでしょう。

 

「こんにちは、お一人ですか?」
「ええ、そうなんです。」
「私もです。知っている人がいないので、なかなか話に入っていけませんよね」
「私も一人で来たので、何となくいづらい感じです」
「本当に。申し遅れました、私こういう者です。」

などと雑談をして名刺交換などができれば、新たな人脈に繋がることもあるでしょう。
自分が居心地の悪さを感じているときは、同じように居心地悪そうにしている人が必ずいるはずです。
そういう人を見付けて話しかけることができれば、高い確率で雑談が弾みます。
雑談によってお互いが孤独から救われ、その人との関係を育むことができます。

 

甘え上手になれる

目上の人に可愛がられる人と、そうでない人がいると思います。
可愛がられる人は雑談を通して周りと関係性を築くのが上手で、「こいつなら仕方がないな」と、人に思わせることができます。
こういう人は多少失敗しても、笑って見逃してもらえることが多いですね。

 

「人に甘えたくない」と考える人もいますが、愛嬌のある人は女性も男性も、周りから愛されています。
たとえば、職場の先輩がケーキを買ってきて「みんなで食べよう」と誘われたとき、

「ダイエット中なので遠慮しときます」
「甘いもの苦手なんですよ」

と正直に返事してしまう人は、「可愛げがない」と思われてしまいます。
人の好意は素直に甘えるのが、社会人としてのマナーです。

 

「わー、いいんですか?いただきます!」
「遠慮なくいただきます」
「おいしいですね、どこのお店のケーキですか?」
「すいません、もう1個もらってもいいですか(笑)?」

こういう反応ができる人の方が、可愛い人だと思ってもらえます。
甘え上手になるためには、サービス精神が必要なことがわかるのではないでしょうか。
相手の懐に入って、相手を喜ばせようとするサービス精神が甘え上手に必要な素養です。

 

「そんなに食べて、太っても知らないよ~」「男子は食べっぷりがいいね~」
などと和気あいあいとした雑談が広がれば、しめたものです。
甘え上手は雑談上手に繋がります。

 

ストレス解消になる

会社が終わってすぐに家に帰らずに、どこかでちょっと一杯やってから帰るという社会人は多いものです。
行きつけの飲み屋に寄って、ビールを傾けながらお店の人と何気ない雑談をする。
お酒を運んできた女将さんに、

「今日は混んでるね」
「ええ、この時間にして珍しいですね。今日はカンパチがおすすめですよ」

こんな何気ない会話だけでも、仕事での緊張がほぐれたりします。
仕事モードを引きずったまま家に帰りたくないので、職場と家の間にワンクッション、仕事モードを変えるためのちょっとした雑談を求めて、一杯飲むという人が多いのです。
どんな無口な人でも、ちょっとした会話を求めているのではないでしょうか

 

その一方、特に若い人は職場の上司や先輩など、年の離れた人との会話が苦手な人が多いです。
年も立場も離れている人とは何を話せばいいのかわからないと思うのも当然です。
しかし、若い人が無理に上司の話題に合わせなくても雑談はできます。
むしろ、若者が自分たちの世代が興味のあることが伝わると、年上の人はとても喜んでくれます。

 

今の上司たちは、コミュニケーションを大切するよう特に教育されてきた世代です。
ですから、年代ごとの興味のあることを、とても知りたがっています。

 

「部長、ご存知でした?今、○○っていうタレントが人気急上昇なんですよ」
「これ流行っているんですけど、何て言うかご存知ですか?」
「課長、コレ知らないと、遅れてるって思われますよ。これはね○○の妹キャラなんですよ」

などなど、自分たちの身の回りで話題になっていることを教えてあげましょう。
長話をする必要はありません。30秒程度で十分です。

 

若者が話しかけてくれる、若者が最新の情報を教えてくれる。
たったそれだけのことで、喜ぶ上司は意外と多いものです。
年上だからと気負いすぎず、何でもいいから話してみましょう。

 

興味が広がる

人と人は、知らず知らずに影響しあっているものです。誰かと話していると、最初はそれほど興味のない事柄であっても、そのうちに少しずつ関心が高まってくることがあります。

 

雑談で誰かが「最近、ジャズにハマってる」と話していて、自分はそんなに興味がなくても、「カインド・オブ・ブルーという曲があってね、マイルス・デイビスとジョン・コルトレーン、ビル・エバンスの奇跡的な一枚で、マイルスはピアノのマイルスがビル・エバンスを評して、「輝く水のような音色」と絶賛したんだ……」などと聞いているうちに、ちょっとカッコ良さそう、聞いてみようかなという気になるかもしれません。

 

また、それほど興味がなかった取引先の人でも、目に入ったものを褒めているうちに、だんだんと親しみが湧いてきて、以前よりも好きになっていたということも多いのです。

 

このように雑談で聞いた話や、自分が話したことに影響されることは多々あります。
誰もがゆるくつながりながら、誰かの影響を受けているわけですね。

 

そして、この性質を利用して、自分の目標を達成させることもできます。
よく、「目標を達成したければ、それを人に話すこと」といいます。誰かに自分の目標を話したら、達成しないと恥ずかしいという気持ちがつよいので、達成しやすくなるというわけですね。そのとおりだと思います。

 

たとえば、フルマラソンに出場することを目標としていたなら、雑談のときに「フルマラソンに挑戦しようと思って、ジョギングを始めたんですが、10分も走ればバテバテですよ」などと話しておけば、途中でイヤになったときも挫折せずに続けようというモチベーションになります。

 

自分の関心の幅を広げたり、ものの見方が変わったり、目標を達成したりと、自分にとってプラスの効果が多いのも雑談のメリットです。

 

雑談は相手本位で相手を気持ちよくさせるために行うのが基本ですが、人のためだけでなく、自分にとってもさまざまなメリットがあるのも魅力です。

 

脳をリフレッシュさせる

セミナー、プレゼン、講演会を聞いているときに聴衆が疲れて中だるみしてくることがあります。
人は長時間、人の話を集中して聞くのはなかなか難しいものです。
このようなときに、話上手な人は必ずブレイクタイムを取ります。
ブレイクタイムでは例えば聴衆に話をさせることが効果的です。

「そこの白いブラウスのあなた、あまたは○○についてどのように感じますか?」
「後ろの席のあなたは、○○をして困った経験はありませんか?」

などなど、今話しているテーマについて関連のあることを聞いて、聞き手に話させることによって場を活性化させるのです。
こうすることで、これまで一方的に聞くだけだった聴衆が、話す側になります。
たとえ自分が話さなくても、同じ立場の人が発言するのを聞くのは、とても興味深いものです。
人は話を聞くよりも、自分の話をすることの方が好きですから、このような時間を設けることで脳をリフレッシュさせ、途切れた集中力が戻せるという効果があります。

 

これは脳科学的の知られており、学校の授業でも必ず合間に適度な休憩時間が設けられています。
休憩時間で親しい友だちと雑談することなどで、脳をリフレッシュさせ、次の授業を聞く体制に整えていたのです。
単に体や頭を休めるのではなく、自分がおしゃべりすることで、次の授業への集中力が高まるという経験が誰にもあると思います。

 

これは会社でも同じです。
会議などで意見が出尽くして行き詰まった空気になったら、いったん休憩を入れることがあります。
これも単に休むのではなく、コーヒーを飲んだりしながら会議とは違うことを雑談することでリフレッシュすることができます。

 

集中力が切れそうになったり、脳が疲れたりしたときは、いったん休憩をとってとりとめもない無駄話をしましょう。
そうすれば、これまでの場の雰囲気がいったんリセットされて、新鮮な気分で続けられます。
雑談には脳を休憩させ、リフレッシュさせる効果があるのです。

 

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相手を癒せる

ストレスを感じることがあっても、ちょっと誰かに話すだけで心のもやもやがスッと解消することがあります。
特に、同じ立場の人に話をきいてもらって共感してもらえると効果は倍増です。

 

雑談とは本来は、意味のない話をしてみんなが楽しくなることが目的なので、ネガティブな話はあまりおすすめできません。
しかし、時には相手のストレスの元になっていることを聞いてあげることも必要です。
深刻な相談に乗るまでいかずとも、ちょっとグチをいって、ガス抜きをするといった程度でかまわないのです。
カウンセラーのように相手の話を上手に引き出すことも必要ありません。
ただ聞くだけです。解決策をアドバイスする必要ありません。
何の解決策がなくても、ちょっと誰かに話すだけで気持ちが軽くなったり、そのものごとを客観的に見られるようになって気持ちが整理できたりするものです。

 

「最近どう?景気が悪いから大変じゃない?」
「値下げ、値下げって、無理難題いうお客さんがいるんですよ・・・」

 

「新人君の教育係お疲れ様。調子どう?」
「いやぁ今の新人って何、考えてるんですかね・・・?」

 

このようにネガティブな返事がきたときは、話をきいてもらいたいサインです。
相手の話に耳を傾けて聞き、「それは大変だよね」と共感してあげてください。
それだけで、相手は自分の苦労が受け入れられたと感じますし、自分だけじゃないんだと感じます。

 

相手のストレスを感じたときは聞き役に徹して、ちょっとしたグチを吐き出させてあげましょう。
楽しいことで盛り上がる雑談ではなく、たまには相手に心のモヤモヤを吐露させるための雑談があってもいいと思います。
あまり深刻にならないように、雑談程度にとどめながら話を聞いてあげましょう。

 

また、仕事のミスなどで落ち込んでいる同僚に、そっと声をかけたり、黙って温かい飲み物を差し入れたりしてみてください。
職場の悩みは、同じ職場にいる人が一番理解できます。
ちょっとした心遣いが、いつもあなたのことを気にかけていますよというメッセージになります。
人に気にかけてもらっていることを知ることで、その人はとても勇気づけられるのではないでしょうか。
相手の心を癒やすこと。これも雑談だからこそできる、大切なコミュニケーションです。

 

クレーム防止になる

雑談はビジネスでのクレーム対策としても、有効に働きます。
ビジネスではクレーム対応がなかなか大変で、クレームに対するマニュアルを作っている会社も多いのではないでしょうか。
しかし、クレームが発生してから対応するのではなく、できるかぎりクレームを防ぐよう心がけることも大切です。

 

クレームに関する危機管理対策として、雑談がとても役に立つことも知っておいてください。
雑談の効用は、相手の警戒心を解いて自分との距離を縮めてもらうことです。

 

ビジネス上でも、お客様に警戒心を抱かせないことは、とても重要なのです。
というのも、警戒心が強い人はクレームが起こりやすく、警戒心がなく親しみを持っている人はクレームが発生しにくいからです

 

たとえば、毎日のように出かけるスーパーマーケットで、いつもレジの店員さんが、

「奥さん、そのエコバッグおしゃれですね」
「今日は寒いですね」
「今日のワンピース、とてもお似合いですね」
「髪型、変えられたんですか?ステキですね」

などといつも話しかけてくれていたら、親しみがわきます。
レジからお釣りが出て来るまでほんのちょっとした待ち時間などに、一言話しかけられると、その店員さんの顔を一度で覚えることでしょう。
このような店員さんが、おつりを間違えたとしても、「間違えてますよ」と言うにしてもクレームまでは発生しにくいでしょう。

 

しかし、どの店員さんも仏頂面でただ機械的に対応している人ばかりだと、お釣りの間違いであっても不快に感じるのではないでしょうか。
また、ガーデニングが趣味で玄関の庭先にいつも美しい花を咲かせている家があるとします。
一般的な配送員なら、いくらきれいな花が咲いていてもスルーすることでしょう。
宅配の品物を届けて、受領印をもらって終わりです。
しかし、一人の配送員が

「いつもお花がきれいですね」
「あれは何という種類の花ですか?」

などと、配送のたびに必ず何か一言、ガーデニングの花を褒めてくれたらどうでしょうか。
ほんの一言ですが、その人のことを「宅配便の人」という記号で認識するのではなく、「花のことをほめてくれる感じの良い人」という印象を抱くのではないでしょうか。

 

このようなときに、ちょっとした配送ミスがあったらどうでしょうか。
午後の12時~14時までに指定しておいた荷物が、夕方になっても届かないとやきもきします。
14時以降に外出の予定がある場合など、なおさらです。このようなちょっとしたミスでも、「ただの配送員」に対しては文句を言いたくなりますが、「花を褒めてくれる良い人」の場合は、忙しいんだから仕方がないかとクレームにならずに済ませてしまうのではないでしょうか。

 

仕事でまったくミスをしない、というのは不可能です。
自分はきちんとしていても、誰かのミスが自分のミスとなることもあります。
お客様にはそのようなことはわかりませんから、担当する当人にクレームが集中します。
そうすれば、結局はその人のミスとして処理されてしまうことになるのです。

 

このような将来起こりうるかもしれないミスに対するクレームを少しでも防ぐためにも、日頃からのコミュニケーションはとても重要なのです。

 

本来なら会社にクレームが行くようなミスであっても、雑談で良好な人間関係が築けていれば、お客様の方でミスをきちんとカバーしてくれる可能性が高いのです。

 

もし、仕事でお客様の自宅に訪問するときは、必ず何か一言、目に入ったものを褒めましょう。

「ユニークな傘立てですね」
「素敵なお庭ですね」
「かわいいワンちゃんですね」

など何でもかまいません。
というのも、ビジネスで知らない人が自宅に来るというのは、迎える方だって緊張するものだからです。
緊張していますし、警戒しています。このように緊張感や警戒心があるところに、何らかのミスをするとクレームが発生しやすいのです。

 

仕事で得をする

また、自宅に訪れるのではなく、会社での取引でも雑談がトラブルを防いでくれることも多いのです。
たとえば、何度もその会社に足を運んで営業トークを続けていた努力が実って、取引先の担当者が「そこまでいうなら、一度お取引しましょう」と、購入を決めてくれたとします。営業マンにとって、とてもうれしい瞬間です。
しかし、このようなケースでもあなたが帰った後に、担当者の気が変わる事があるのです。
そして翌日あたりに電話がかかってきて「やっぱり、あの取引、ちょっと考えさせてください」と断られることもあります。

 

そこでもし取引が成立するまでに相手と雑談を通しての趣味が分かっていたら、
「お取引いただいて嬉しいです。○○さんとは、ゴルフという趣味もいっしょですし、これからも長くお付き合いさせていただいて、ゴルフ談義などもぜひお聞かせください」
「これもご縁ですので、是非今度一緒にコースを周りませんか?」
と一言雑談できると、「契約はちょっと早まったかな?」と思ったとしても、まあ今回はこのまま行こうと、口約束の後の取り消しのリスクが低くなるのです。

 

クレームも同様です。納品した商品に何らかの不備があった場合も、担当者と日頃から雑談をしていて親しくなっていたら、「今度から気をつけてよ」と許してもらえることが多いのです。
同じミスを、二度、三度と繰り返すのは論外ですが、一度のミスなら見逃してもらえる可能性は低くありません。

 

このように、ビジネスでのクレームなどの危険を回避するためにも、日頃からの雑談によるコミュニケーションを重ねておくと、いざというときに役立ちます。
「仕事以外のことを話す」のを面倒臭がらないようにしましょう。それが、結果的には自分のためになります。

 

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英会話が恐くなくなる

グローバル社会といわれる現代、英会話を身に付けたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
その一方で、英会話教室に通っても全然話せるようにならない、英会話にはまったく自信がないという人がとても多いのも現状です。

 

外国語をマスターするのは、一朝一夕にはいきません。
特にビジネスで英語を使う場合は契約書などを読むといった専門的な語学力が求められます。

 

しかし外国で弁護士になる、外資系の会社でバリバリ働くといった人は別ですが、私たちが海外からきた外国人観光客とちょっと話したり、逆に海外旅行にいったときに現地の人と話したりする程度の英会話なら、何も専門的な用語を知っている必要はありませんし、文法を知らなくてもなんとなく意思疎通はできます。
多くの日本人が英語は苦手と感じているのは、ペラペラとネイティブ並に話さなければいけないと考えているからではないでしょうか。
海外旅行などで外国の人と英語ではなすときは、雑談程度です。
ちょっとした雑談ですから、気楽に話せばいいのです。
文法を知らなければ、単語とジェスチャーでもかまわないでしょう。
理路整然と話す必要、結論もオチも不要です。

 

おたがいが言葉を交わすことでその場の雰囲気が和む、親しみが感じられることが一番大事です。
そう考えると、英語でも肩肘張らずに話せるのではないでしょうか。

 

そもそも私たちは、これまでに英語にまったく触れずに来たわけではありません。
中学校から英語の授業がありますから、英語の基礎程度は、誰もがある程度学んだ経験があるはずです。
中学英語も忘れているという人も多いですが、中学英語を忘れていても、「no Problem」と聞いたら、「問題ない」と言っているくらいは理解できる人が大半だと思います。

 

中学、高校と英語を習って来たにもかかわらず英会話に苦手意識があるのは、単に英語を習っただけで、実際に話す機会がほとんどなかったからです。英会話に慣れていない、ただそれだけなのです。
日本語での雑談でも、英語での雑談でも、雑談のルールは同じです。
意味のないことを話す、結論なんてなくていい、どんどん話題を変えていいのです。

 

そして、雑談になによりも大切なのは、相手に共感することです。雑談では、とりあえず肯定する。まずは受け入れる。
これが大前提となります。「あ、おんなじ!」、「それ、いいですね!」、「そういうこと、ありますよねー」、「お互い苦労しますね」などなど、共通点を見つけたり、相手の気持に共感することで場をリラックスさせるのが雑談です。

 

ですから、英会話でも「Yes!」という言葉をどんどん使っていけばいいのです。
yesのほかに、「私も同じです」という意味の「me too」または、「So do I」も使えます。
「Do you like steak?」「yes」。「Do you know apple?」 「yes」。とりあえず、yesと答えましょう。

 

相手が○○が好きというなら、「私もです。me too」。
困ったら「me too」。「really?」と聞かれても「yes,yes」。いい加減ですが、それでも話さないより数倍もマシです。
日本語の雑談と同様、このように「そうです!」「わたしもです!」と答えていると、どんどん会話が盛り上がっていきます。

 

日本での雑談でも、「○○って知ってる?」「知ってる、好き!」「私、○○が好きなんだ」「私も、おいしいよね!」とか、せいぜいこの程度の雑談をしていることが多いのではないでしょうか。
正しい日本文法を意識して喋る人はいません。
大阪の人はよくアレ、ソレなどと言って、具体的な言葉を使わずにしゃべるといいます。
「アレって、感じええよな」、「そうやな、アレはええ線、いってるな」といった具合で、お互いが思っているアレが食い違っていても、同調していくゆるい雰囲気を空気を楽しめればそれでいいのです。
英会話もこれくらいのレベルでいいと考えれば、外国人とだって楽しく雑談できます。

 

起承転結を考えたり、5W1Hにこだわって文章を考えながら英語を話すのは難しくても、単語の羅列程度なら、誰でかんたんにコミュニケーションが取れるのではないでしょうか。

 

外国の人が日本観光にやって来て、カタコトの英語で何かを尋ねてきて日本人がうまく答えられなくても平気です。
自分の国の言葉ではないのだから、話せないのは当たり前と受け入れます。外国人も同じです。
日本人なんだから、英語はヘタでも当たり前で気にしない。なのでこちらが気にするのは損です。

 

起承転結や5W1Hを意識したスピーチとは違い、雑談はその場の空気でどんどん話題が変わっていきます。
結論なんてありません。ですから、話が続かなくなったなと思ったら、「ところで、by the way」と言って、話題を変えればいいのです。英語だからといって身構える必要は何もありません。

 

雑談とは何かを知っていれば、それが日本語であっても、外国語であっても、話し方は変わらないからです。
ボディコミュニケーションについて、イチローをくすぐってチームの雰囲気を好転させたケン・グリフィー・ジュニアの例もあります。
究極は言葉が通じなくても、コミュニケーションをすることはいくらでも可能なのです。
子どもたちを見ていれば、それはとても良くわかります。
まったく初対面同士でも、すぐに仲良くなりますし、言葉が通じなくても関係なく遊んでいます。

 

英会話について、あまり身構えないようにしましょう。
英単語を使った雑談程度の感覚でいいと思います。つまり、英会話は英語の勉強とは別物という考え方です。
日本語での雑談力を磨けば、自然と英会話も話せるようになります。

 

雑談とは意味のある会話ではありません。会話をするという“行為”を通して、相手の警戒心を解いて、その場の空気をリラックスさせることが目的です。
そこには日本語も、外国語も分け隔てはありません。
お互いが共感し、お互いを尊重しあっていれば、そこにコミュニケーションは成立します。
つまり雑談とは言葉の壁を超えた素晴らしいコミュニケーションだということです。

 

雑談には話すテクニックも、語学力もまったく不要です。
必要なのは相手に共感する気持ちです。共感していることを示すためには、ただリアクションを返すだけです。「そうだね!」「わかるよ!」「同じ!」「私も好き」。
これだけです。相手と楽しく過ごそうと思って行動すれば、それは以心伝心で必ず伝わります。雑談力を磨いて、コミュニケーションの幅を広げましょう。

 

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