キンカンの法則を知れば、いつでもどこでも笑いが取れるようになる

笑いの法則は実にシンプル

笑いの法則を知っていれば、場の空気に合わせて臨機応変に、おもしろい話ができるようになります。

 

使い古された駄洒落のような定番のフレーズではなく、TPOにあわせた「生きたおもしろさ」を自由に表現するために、「笑いの法則」を理解しておきましょう。

 

天才落語家ともいわれた桂枝雀さんのお笑いの理論「キンカンの法則」をご存知でしょうか。
これが、笑いの法則です。

 

「キンカン」とは緊張と緩和のことです。桂枝雀さんは笑いの本質について、ズバリ「人は緊張が緩和された瞬間に笑う」と喝破したのです。

 

緊張と緩和については、明石家さんまさんも触れていますし、みなさんの中にも一度は聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。

 

明石家さんまさんは、笑いには教科書なんてない。煎じ詰めれば、緊張の緩和だけ。笑わせるためには、緊張させたあとに緩和させればいいと述べています。

 

この説は哲学者のカントも、進化論で有名なダーウィンも書き残しています。
キンカンの法則は、聞いてみると何だとおもうほどシンプルな理論ですが、まさに真理なのではないでしょうか。

 

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笑いは緊張と緩和から生まれる

 

緊張が緩和すると、笑いがおこるというのが「キンカンの法則」です。
その具体例として、明石家さんまさんは「今日は贅沢するぞー!……うどん食べよ」を紹介しています。
贅沢をするというから、どれだけ豪華な料理を食べるのかと思えば、質素なうどん。
贅沢という緊張のあとに、うどんというボケ(緩和)が来る、この異質な組み合わせが笑いを呼ぶのです。

 

この法則を利用して作られたのが、バラエティー番組「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」の罰ゲーム「笑ってはいけない」シリーズではないでしょうか。

 

絶対に笑ってはいけないという緊張状態において、笑わせられる。
普通の状況では笑わないレベルのものでも、つい爆笑してしまいます。

 

この「キンカンの法則」は、さまざまな笑いのシーンで使われています。
漫才も「キンカンの法則」に則っています。
漫才ではボケ役とツッコミ役に分かれますが、ボケ役のようなあほな人は、実際にはいません。

 

実際にはありえないことが目の前で起こるので、聞いている方が「えっ??」と思考停止のような状態になります。これが緊張ですね。
その後にツッコミ役が、「それは○○やろ」などと常識的なツッコミを入れることで、聞き手は「あ、そういうことか」と緊張を解くことで笑いが起こるのです。

 

落語も同様です。落語は一人で何役もしますが、片方がボケて、もう片方の登場実物がツッコむという形がよく見られます。
古くから笑いの文化は連綿と続いていますが、それを支えているのが「キンカンの法則」といえるのではないでしょうか。

 

ダジャレは「キンカンの法則」ではないからつまらない

 

ダジャレやオヤジギャグがつまらないのは、「キンカンの法則」に則っていないからです。

 

ダジャレは相手に「笑え」と強制するようなもので、聞いている方にとっては苦痛です。

 

それは、緊張がない状態のところに、緩和だけがあるからではないでしょうか。
普通に緩んでいる状態で、緩んだダジャレを言われても、カタルシスが起こらずただシラケるだけです。

 

立っているときに後ろから膝を膝でぶつけられる「膝カックン」や、後ろから肩を叩かれて振り向いたら頬に指がささるというイタズラも、だじゃれと同じようなものです。
このようなイタズラをされて腹を立てた経験が、誰にもあるのではないでしょうか。

 

また、おもしろい話をするときに、笑いながら話すのがNGなのも「キンカンの法則」に反するからです。
話し手が笑ってしまうと、その場の空気が緩んでしまいます。
緩和した空気の中で緩和させようとするのですから、笑いの効果はなくなってしまうのです。「キンカンの法則」に従うなら、おもしろい話は真面目な顔で話すのが鉄則です。
真面目な空気がおもしろい話で緩むことで笑いが起こるのですから。

 

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緊張から緩和へのカタルシスは瞬時に起こる

 

緊張から緩和へと移行して笑いが起こるのは、瞬間的なものです。
お笑いのライブや寄席などで、観客が同じ瞬間にドッと笑うのはそのためです。

 

ボケの達人として有名な松本人志さんは、青山テルマさんが自分の番組にゲスト出演したときに、「マンションみたいな名前ですけどね」とボケました。
観客は「マンション」と聞いて一瞬「?」と感じます。感覚の不意打ちのようなものですね。
しかし、その後すぐに「テルマ青山とかいうマンション、東京にありそう」とマンションと青谷テルマが感覚の中で引っ付いて、思わず笑ってしまうのです。

 

これは、聞き手が思ってもいないことを言うことで、「何それ?」と感覚を不意打ちして緊張を作り、「ああ、そういうことか」と納得して、緊張から緩和へと導いて笑いへと誘っているわけです。

 

このように不意打ちによる緊張から、納得による緊張の緩和という流れで笑いを生み出すことができます。
人が瞬時に感覚的に理解して起こる笑いなのです。

 

緊張と緩和の法則で笑わせよう

 

ここまでで、「キンカンの法則」がいかにして笑いを起こすかを説明してきました。
ここからは、日常のコミュニケーションで、この「キンカンの法則」を生かす方法を解説します。
ふだんの会話で使えるような具体例を紹介しますので、実践で取り入れてみてください。

 

緊張感を高める「倒置法」

 

これはものを言う順序を逆にすることで、緊張と弛緩を作って笑いを起こす方法です。
「キンカンの法則」のなかでは、最も基礎的なものといえます。

 

倒置法で聴衆を惹きつけた人として一躍有名になったのが、東京都知事の小池百合子さんです。

 

オリンピック予算について、「膨れあがるオリンピック予算。一兆、二兆、三兆って」と行った後、少し間をおいて「豆腐じゃないんですから」。
ここで、聞いている人たちは笑ってしまいました。
最初はオリンピック予算が膨大なことを糾弾する厳しい口調でした。
しかし、調子は急転して「豆腐」に喩えています。ここで厳しい口調による緊張から、緩和へと展開させて笑いを取っています。
これを順番通りに「豆腐じゃないんですよ、一兆、二兆って……」などと言っていたら、インパクトとしてはどうでしょうか。
聞く人はそれほど耳に刺さらず、聞き流していたのではないでしょうか。笑いも取れなかったはずです。

 

このテクニックは、私たちが行う日常的な会話でも活用することができます。

 

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得意先の担当者などと話すときにまず、雑談から入ることが多いですね。
このようなシーンでも、倒置法による「キンカンの法則」を使うと、効果的なツカミになります。

 

例えば開口一番に、「すごかったですね!」と言ったら、相手は「何が?」と疑問に思うでしょう。?と思わせたところで、「昨日のヤクルトvsロッテ戦で畠山が放った、さよなら満塁ホームラン」。

 

これを順序どおりに言ったときと比べてみましょう。
「昨日のヤクルトvsロッテ戦で畠山が放った、さよなら満塁ホームラン、すごかったですね!」。
倒置法で最初に「すごかったですね!」と言って、相手が「何がすごかったのか」と考えているところに、逆転満塁ホームランのことを伝えると、相手は「そーだよなー!すごかったよな!!」と盛り上がるのではないでしょうか。

 

このほかにも、「久しぶりにワンピースを着て電車に乗ったら、あんなにショックなことがあるなんて知らなかった」、「何がショックだったの?」、「妊婦に間違えられて席を譲られたの」。
これを順番通りに話すと、「久しぶりにワンピースを着て電車に乗ったら、妊婦に間違えられて席を譲られたの。ショックだったわー」となります。
一番言いたいことは「妊婦と間違えられるほど太ってしまった自分」ということです。
ちょっと順番を変えて、言いたいことを最後にもってくるだけで、インパクトが強くなります。
倒置法による緊張と緩和の作り方、ぜひ試してみてください。

 

倒置法は、笑いを取るのではなく、相手にインパクトを与えたいときにも使えます。
この方法では相手に「何が?」と思わせて緊張感を与え、次に解答を説明することで、相手の心に響かせる効果があります。
話す順番を変えることで、緊張感を作り出すわけですね。
ですから、笑い以外にもいろいろと使えます。

 

たとえば、気になる女の子と会ったときに、黙って顔を見つめます。すると、彼女は「え? 顔に何かついてるのかな」と不安になり、緊張感が高まります。そのときに、「いやー、今日の○○さんはいつも以上に美肌だなと思ったから……」などと褒めましょう。
緊張から解放された彼女は、きっと嬉しく思うはずです。

 

この他にも、部下への対応にも使えます。「この企画書を誰が作ったんだ!」と呼びかけると、作成者は「あの、私です」とおずおずとあなたのところに来るでしょう。
企画書に不備があって怒られるのではないかと、緊張しています。そこで、「あのなぁ……。こんないい企画書、なんでもっと早く出さないの!」。
これなら、緊張感のあとに褒められて、部下もやる気がでるのではないでしょうか。

 

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また、彼女にプロポーズするときにも使えます。
何年間か付き合ってきた彼女に結婚してほしいと告白するときに、「実は、君に話さなければいけないことがあるんだ。感情的にならずにしっかりと聞いてほしい」と持ちかけます。
これを聞いた彼女は「別れ話ではないか?」と不安に感じるし、緊張感が強くなります。
何を言われるのかとドキドキしている彼女に対して、「僕と結婚してください」とプロポーズすれば、彼女は緊張感から開放されて、とても喜ぶはずです。
そして、「別れ話でなくてよかった。私も結婚したい!」という気持ちになって、プロポーズが成功する可能性が高くなるのではないでしょうか。

 

このほかにも、お願い事をするときに、「折り入ってあなたに相談したいことがあるんだけど、怒らずに聞いてくれる?」と相談をもちかけます。
すると、相手は「何があったの?」と心配します。
そこで、「次の休みの日にデートしたいの。付き合って、お買い物に」とお願いしてみましょう。
相手の男性は「そんなことなら、付き合うよ」と承諾してくれる可能性が高くなります。
この例では、2回倒置法を使っているのにお気づきになったでしょうか。
まず最初に、「相談がある」と緊張感を高め、さらに倒置法を使って、買い物に付き合ってとお願いしています。
これを「次の休みの日に、買い物に付き合って」とお願いしたら、女性の買い物は時間がかかるからとNOと言う可能性もあります。
そこで、NOと言わせないために、倒置法を重ねて使っているのです。

 

「キンカンの法則」を上手に活用すれば、相手をコントロールする奥の手としても使えるのではないでしょうか。

 

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嫌われない自慢話の伝え方

 

人に嫌われる会話のナンバー1といってもいいのが、自慢話です。
自慢話をする人は、みっともないと誰もが思っています。
そして、「自慢話はしないでおこう」と心がけている人が大半ではないでしょうか。とはいえ、これは自慢したいな……と思うこともあります。
そんなときに、人に嫌われない自慢話の伝え方を覚えておけば、イヤミにならないようにさりげなく自己アピールができます。

 

相手にイヤがられる自慢話ですが、話の最後にお笑いの要素を加えると、聞いている人に「アハハハ」と笑って受け入れてもらえます。
ここで使うお笑いの要素は、自虐ネタです。

 

これも「キンカンの法則」の応用です。
誰しも自慢話が始まると、「コイツの自慢を聞かされるのか……、イヤだな」と緊張します。
そして相手が緊張したときに、自虐ネタで緩和させてあげると、自慢話も笑顔で聞いてもらえるのです。

 

芸能人にも自虐ネタでファンの心を掴むテクニックを使っている人が少なくありません。
アイドルの指原莉乃さんも、「私は可愛くない」と発言したり、自分の熱愛スキャンダルをネタにしたりして、笑いを取っています。
また、テレビで人気のバラエティ番組「しくじり先生」も、オレみたいになるなと自虐トークを披露することで、ブレイクしました。

 

自慢話をして相手に嫌われるのがイヤなら、少しオーバーな内容になってもいいですから、最後に自虐ネタを加えましょう。
「自分はスゴイんだ!」と自慢するよりも、敢えて自分からアホになって「おもしろくていい人」と思ってもらうほうが、人生が豊かになります。

 

例えば、高級時計を買ったことを自慢したいときに、「見てください!、ついにパテックフィリップの時計を買っちゃいました!」とまずは自慢します。
すると相手は「自慢話されるのか、勘弁してよ」と緊張します。
そこで「質屋さんでローン60回、5年払いで支払っていきます」と自虐ネタで落とします。
そうすれば相手も「アハハ、大変だね」と笑ってくれるでしょう。

 

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また、上司に認められないという愚痴をいう場合でも、「部長はオレの実力や頑張りをぜんぜんわかってない!」と、まずはホンネをいいます。
相手は(グチかぁ面倒くさいなぁ・・・)と思うでしょう。
そこで「まあ、俺も自分でよくわかってないんだけど……」と自虐ネタを加えます。

 

このほかにも、合コンで楽しかったと自慢をするときに、「昨日、合コンでバーベキュー大会をしたんだけど、可愛い子ばっかりそろっててさー」と話しかけると、相手は「よかったね」と口では答えても内心では自慢話かよとうんざりすることでしょう。
そこであなたが、「でもさー、バーベキューの網の上のカボチャと同じで、オレだけ売れ残ってしまったんだ」と、オレってモテないという自虐ネタで締めくくります。

 

これらの例のように、いったん自分を持ち上げてから、ストンと落とすと「キンカンの法則」で、相手はクスッと笑ってくれるのです。

 

予想を裏切る「キンカンの法則」

 

聞き手は、「次はこういうことを言うんだろうな」と予想しながら相手の話を聞いています。
この予想を裏切るのも笑いを呼ぶ「キンカンの法則」のパターンの1つです。

 

アメリカの計算認知科学者であるハーレー、哲学者のデネット、そして心理学者のアダムズの共著『ヒトはなぜ笑うのか』では、「自分が思い込んでいた事実と異なる情報が入ってきて、思い込みが間違いだったと気づいたとき」に笑いが起こると説明されています。

 

自分が思っていた予想と違ったとき、「えっ?」と緊張し、その後に「ああ、そういうことか!」と納得するときに緩和が生じて笑いが発生するというわけです。

 

例えば、主婦同士の会話です。
主婦1「○○さんの奥さん、転んでお顔をケガされたそうよ」
主婦2「あらら、お気の毒だわ」
主婦1「整形手術で元通りに戻ったんだそうよ」
主婦2「あらら、お気の毒だわ」

 

他にも、飲み会の会話です。
A「今日の支払いは、俺のクレジットカードで」
B「え?おごってくれるの?」
A「いや、ポイント付くから。半分出して」
B「ポイント貯めるだけかい」

 

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このように聞き手を誤解させるように誘導させるテクニックは、古くから小咄としても使われており、笑いを誘います。
落語のマクラでも、「世間にはそそっかしい人がおりまして、かけているメガネを探しまわったり、マスクをしたまま、エヘンなんて痰がからんで、そのまま吐いちまったり」ここから話が始まります。
旦那「定吉、用事を頼まれておくれ。文房具屋まで行ってきてくれるかい」
定吉「へーい、行ってまいります」
旦那「おいおい、用を聞かずに飛び出す奴があるか、おーい、行っちゃったよ、あいつはどうしてあんなにそそっかしいんだろうね。文房具屋で何を買ってくるのか聞きもしないで……。あ、手ぶらで帰ってきた」
定吉「行ってまいりました」
旦那「行ってきたって、お前、どこに行ってきたの」
定吉「へぇ、文房具屋まで」
旦那「で、どうだった?」
定吉「特に変わったことはなかったですよ」
旦那「何を言ってるんだろうね、この子は。あたしはお前に、文房具屋で便箋を買ってきてほしかったんだ」
定吉「なんだ、もっと早く言えばいいのに。ちょうど今行ってきたついでに用を足したのに」

 

このほかにもとんねるずが、テレビ番組のロケでお店で食事を注文するときに、お店の人に「お勧めは何?」と聞きます。
お店の人が「もつ鍋です」と答えると、「じゃあ、刺身盛り合わせください」。
お店の人は、お勧めを尋ねたのだからもつ鍋を注文するのだろうと思います。
しかし、わざわざ聞いておいて、それとは違うものを注文することで、笑いを誘うのです。

 

謎が笑いを呼ぶ「キンカンの法則」

 

笑いは、自分が思っていたことと違う結果がでて「?」と思い、納得したときに「!」となったときに起こります。

 

落語の「馬のす」という話も、この方法で客席を笑わせます。
この落語は、釣り好きの男の話です。
釣りに出かけた男が、さて釣りをしようとすると釣り糸が切れていること気づきます。
そこに馬方が、馬を引いて通りかかりました。
ちょうどいいやと、馬の尻尾の毛を3本抜いて、釣り糸代わりにします。

 

それを見た釣り友達が、「おまえ、とんでもないことをしちまったな。馬の尻尾なんか抜いて、どうなっても知らないからな」と、深刻な顔で思わせぶりに言います。
何か良くないことでも起こるのかと心配になった男が、馬の尻尾を抜いたらどうなるのかと尋ねところ、「タダでは教えられない。友だちだから酒をおごってくれたら教えてやる」と言います。
友達は、男のおごりで酒と肴をたらふく堪能したあとに、

 

友「馬の尻尾を抜くとな……」
男「・・・うん」
友「馬がな……」
男「・・・馬が?」
友「痛がるのさ」

 

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これはあらすじですが、寄席では落語家が、「馬の尻尾を抜いたらどんな恐ろしいことが起こるのか?」という謎を緊張感をたっぷり高めてから、「痛がる」とオチをつけます。
観客は「なんだ、酒をたかるための作戦か」と弛緩して笑うのです。

 

ここで使われている「キンカンの法則」のテクニックは、謎を提示して相手を緊張させた後に、謎解きをして弛緩させます。
記号で表すと「?(謎)→!(解決)→笑い」ですね。

 

日常会話でも、このテクニックは使えます。
営業トークのツカミとして、「今日は商品を紹介するために来たのではありません」と言ったら、相手は「何のために来たんだろう?」と疑問に感じます。
これが謎の提示ですね。そこで「商品をご紹介する前に、私について知っていただくために参りました」と謎解きをします。
ここでは笑いをとらなくてもいいのです。
相手にインパクトを与えて、次の会話へと繋げていくための起爆剤とするのが目的です。

 

また、友人との会話で「このところ、夜眠れなくってさー」、友人は「何か心配事でもあるの?」と心配してくれます。
そこで「昼間はぐっすり眠れるんだけど」と謎解きをしたら、相手は「それが原因だよ」とツッコンでくれるでしょう。

 

?(謎)→!(解決)を使った「キンカンの法則」のコツは、聞き手の興味を抱かせることです。
相手が「何? どうしたの?」と疑問に思う事柄から話をスタートさせましょう。

 

権威の失墜の落差で笑わせる「キンカンの法則」

 

童話の「裸の大様」にもあるように、権威の失墜も「キンカンの法則」の一つのパターンです。
偉い人が貶められるというギャップで笑わせます。

 

北野武さんが、フランス政府からレジオン・ドヌール勲章という非常に権威のある賞をもらったときのコメントも、この権威の失墜を意識したものでした。
北野武さんは「チャップリンは総理大臣がバナナの皮に滑って転ぶと誰もが笑うと言っているが、同様にお笑い芸人がいい賞をもらうと落差がつく」とコメントし、「素晴らしい賞をたくさん貰いたい」と発言しています。

 

北野武さんは世界に知られる映画監督であると同時に、お笑い芸人の「ビートたけし」でもあります。
このお笑い芸人と権威のある映画監督の落差が笑いを呼ぶと、北野武さんならではのコメントで喜びを表現しました。

 

落差を意識した「キンカンの法則」も会話に取り入れてみましょう。
たとえば、歴史的な有名人の徳川家康について、「家康っちも、子どもの頃から人質にとられたりして苦労したけど、織田っち、サルちゃんの後にきっちり天下人となっちゃったんだから偉いよね」と、自分のほうが偉いという上から目線の発言をすると、おかしみが漂います。

 

職場での会話にも生かしてみましょう。
例えば「川口社長から金一封が出たよ」同僚が「すごいじゃん!」 そこであなたが「中身は500円玉1つ。川口ちゃんもケチンボだね」。
社長をちゃんづけで呼ぶことで権威を下げておかしみを出しています。

 

また、同僚から「サユリ先輩がカンカンに怒ってましたよ」言われたら、「あれ、サユッチお冠なの?何かしたっけかな……」と、とぼけてみます。

 

このテクニックは権威という価値を無効化するために、上から目線で発言して自分の立場を上げることがポイントとなります。
ただし、職場の人を話題にしてこの法則を使うときは、十分に注意してください。本人の耳に入ると逆鱗に触れかねません。

 

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「キンカンの法則」を使った話の作り方

 

笑いは緊張が緩んだときに起こります。
しかし、この「キンカンの法則」を知っていても、実際の日常会話で緊張と緩和を使った話をとっさに考えるのは難しいと思う方も多いのではないでしょうか。

 

そんなときに、ぜひ活用してほしいのが、話を考えるためのフレームワークです。
これから紹介するフレームワークをテンプレートにすると、誰でも手軽に話を組み立てることができます。

 

そのフレームワークとは、話を組み立てるときに「状況」、「謎」、「答え」、「フォロー」です。
話を考えるときにまず「状況」を説明し、「謎」を投げかけます。
そして、謎に対する「答え」を明かし、最後に「フォロー」を入れて締めくくります。

 

例えば、状況としてはこんなことがあったとしましょう
学生時代に、吉野家でアルバイトをしていたとき、二人組の男性客が来た。
客1「俺は牛丼にしよっかな」
客2「う~ん、俺は豚なま焼き定食」
客1「なま焼きってなんだよ!それ生姜(しょうが)焼きって読むんだよ」
客2「え、そうなん?ずっと勘違いしてたわ恥ずかしい!」

 

それを聞いた瞬間、頭のなかに生肉の定食が浮かんでしまった。
イケナイ、今は仕事中だ。笑ってはダメだ!と我慢していると
客1「牛丼大盛りお願いしまーす!」
客2「豚なま焼き定食お願いしまーす!」
ダブル攻撃に腹筋が崩壊しそうだった。

 

これをフレームワークに当てはめると
「状況」:レアステーキで思い出すんですが、学生時代に吉野家でアルバイトをしていたとき、二人お兄ちゃんが店に来たことがあったんです。
「謎」:その客の一人が、メニューを指差して何と言ったと思いますか?
「答え」:「豚なま焼き定食」。
なま焼き!生姜焼きですよ!
これを聞いた瞬間、ボクの生肉の定食が浮かんで、思わず笑いそうになったんです。
「フォロー」:腹筋が崩壊する前に、厨房に急いで帰りました。

 

このように、話し方のパターンとして「状況」→「謎」→「答え」→「フォロー」を使って話を組み立ててみましょう。

 

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キンカンの法則ならSNSで「いいね!」も増やせる

 

FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSを活用している人も多いのではないでしょうか。
スマートフォンから手軽に投稿できるSNSは、セルフブランディングに最適なツールです。
どうせSNSを活用するなら、少しでも多くの人から「いいね!」をもらいたいのが人情です。せっかく情報を発信しても、みんなにスルーされたらがっかりですね。

 

「いいね!」をたくさんもらうための方法はとても簡単で、相手にウザがられないことです。

 

SNSはさまざまな人が閲覧しますから、受け止め方も千差万別です。しかし大半の人がウザがるのが、「オレ(私)ってこんなにスゴイ、かっこいい、おしゃれ」といった自慢ではないでしょうか。

 

会話でも自慢話は嫌われるのでNGで、これはSNSでも同様です。しかし、自分の印象を良くしたいと思って、気づかないうちに自慢していることも多いものです。

 

たとえば、「今日は誕生日。彼女から腕時計をプレゼントして貰った」、「今日は、予約が取れないことで有名な老舗料亭で食事」、「ブーケットの高級リゾートでくつろいでます」など。

 

こういうときにも、「キンカンの法則」で紹介した自慢のあとに自虐ネタを加えるテクニックを使いましょう。

 

「老舗料亭で食事をした」と自慢したら、その後に「お腹はふくれましたが財布が痩せました」、「次の給料日まで、インスタントラーメンの毎日です」などのコメントを添えておきましょう。

 

高級料亭の立派な店構えや、美しく盛り付けられた和食の数々、蔵出しの大吟醸などの写真とコメントで見た人を緊張させたら、自虐ネタで緊張を緩和させることで、悪印象を与えないようにします。

 

高級料亭や海外旅行などは極端な例としてご紹介しましたが、自分では自慢しているつもりはなくても、相手から自慢と受け取られることもあります。知らない間に嫁自慢や、息子自慢をしていることも多いですし、新しい服を買ったから紹介、ここに出かけたからFacebookにアップといったことは、多くの人が行っています。
投稿前に、このコメントと写真はウザくないかなっと確認する習慣をつけることをおすすめします。そしてイヤミになりそうなら、自虐ネタで自分を落として笑いをとりましょう。
こうするだけで、「いいね!」が増えるはずです。

 

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